スタッフブログ

介護にまつわるエトセトラ

最後のおやつ

先日利用者さまが肺気腫で入院されました。

もともと脳梗塞の後遺症で言葉が上手く出ない方ですがまだお若くお元気な方です。

 

早速お見舞いに伺うとナースステーションで数名の看護師に囲まれて

何とも言えない表情でうつむいておられました。

 

看護師はご本人を目の前に

「あ!ケアマネさん。今ねー酸素外してフラフラ歩いてたんですよ!!」

と迷惑そうな口調で失礼な報告をされました。

 

別室で面会を希望し早速お話を伺うと病院の対応にひどく憤慨されていました。

言葉が出にくいことで思いが全く伝わらず凄いストレスを抱えておられました。

じっくり時間をかけお話しし、筆談ではノート3ページに渡り思いを吐き出されました。

 

お金を持っておられなかったのも心細かったようで、

ご家族の許可をいただき一緒に売店に買い物に行きました。

先ほどまでと違いイキイキとした表情で真っ先に

大きな大福餅が3つも入った袋を手に取ろうとされました。

 

さすがにその量は食事に影響が出るだろうと思い

「もう少し小さなおやつはどうですか?」とお声を掛けると小さなキャラメルを手に取られました。

そして筆談で周りの人に想いが伝えられるようノートとペンを買いそれらを大事そうに抱えられました。

 

少し落ち着かれたので看護師に筆談は可能なので思いを聞いてさしあげて欲しいとお願いし病院を後にしました。

数日後、病院より家族さま宛に「ご本人が苦しそうなので眠れるお薬を処方しました。」と連絡が入ったそうです。

 

眠れるお薬?と思いながらお見舞いに伺おうと思った矢先に家族さまより訃報が届きました。

えっ?何で?あんなにお元気だったのに。あんなにお若かったのに。

頭が真っ白になりました。

家族さまの言葉も耳に入らなくなっていきました。

 

同時にあの大きな大福餅のことが頭をよぎりました。

私、なんという事をしてしまったんだろう。

あれが最後のお買い物だったかもしれない、

あれが最後のおやつだったかもしれないのに…。

偉そうに看護師に思いを聞いてあげて欲しいと言った私が恥ずかしく滑稽に思えました。

 

唯一の救いは最後のお顔がとっても安らかなことで、そのお姿にお詫びするのが精一杯でした。

 

この記事をシェアする

その他の記事

一覧に戻る

誰かの“笑顔を支える”
仕事をしませんか?

愛101では介護スタッフを募集しております。
人を思いやる心を持った方、ぜひご応募ください!

採用情報はこちら

お問い合わせ